創業融資を受けるために気をつけること
創業支援を行っていて、非常に残念に思うことがいくつかあります。
本当にちょっとしたことなので「知っていればやらなかった」というようなことです。
これから創業される方の参考になればと色々ある中で4つほど注意点をあげさせていただきます。
創業融資での4つの失敗事例
1 先にキャッシングを利用する
事業の運転資金・仕入代金等に困って、リボ払いなどのキャッシングを利用された後に、そのキャッシングを返したいなどの理由で相談に来られる方がいらっしゃいます。
「キャッシングは最終手段」です。
検討の順番としては
① 民間金融機関もしくは日本政策金融公庫の事業融資
② 民間金融機関等の事業性カードローン
③ 消費者金融等のカードキャッシング※通常のショッピングの範囲内は大丈夫です
です。
これは金利の低い順でもあり、手続きの難易度順でもあります。
急ぎの場合や日本政策金融公庫の融資を受けれるか不安な場合など、安易にキャッシングされる方もいらっしゃいますが「キャッシング前なら融資がおりたのに…」と思う事例があります。
キャッシングする前に必ず「通常の融資がおりないか?」をご検討ください。
2 日本政策金融公庫への延滞・貸倒
日本政策金融公庫への延滞や貸倒(わかりやすく言えば借金踏み倒しです)があるとダメなのは当然ですが、これは事業資金だけでなく教育ローンや医療ローンなど日本政策金融公庫の融資全般についてです。
数日の延滞なら遅れても払っていれば大丈夫と考える方もいらっしゃるようですが、数日でも延滞はかなりのマイナス評価になります。
延滞は理由や状況によっては、それだけで否決になるわけではありませんがかなり不利になるのでご注意ください。
3 必要な融資金額をしっかりした事業計画を立てずに決める
代表者の個人信用情報に問題がなく、自己資金がある方であれば事業計画が多少甘くても少額融資ならおります。
そういう方で多い失敗事例が借りた半年後、1年後に資金が不足して困るということです。
日本政策金融公庫のアンケート(実際に公庫から借りて創業した方からヒアリングしたもの)で、創業後の実際の売上が「事前の想定通りかそれ以上になった」という方は全体の50%弱という結果があります。
事業を始めてみると想定通りにいかないことも多いです。
また、事業計画を立てることも初めての方が多いのですから、想定通りにいかないこともやむを得ないと思います。
しかしながら、創業融資を受けて半年や1年で再度融資してもらえるかというと、かなり売上が好調な場合を除きほぼ不可能です。
しかも、このパターンの時は資金に困って「キャッシングの利用」や「創業融資の延滞」を併発している場合も多く、専門家が関与してもどうしようもなくなっています。
融資金額は重要ですので、必ず入念に検討して決めましょう。
融資金額の決め方については過去のコラム
創業融資の申請金額の決め方
で説明していますので参考にしてみてください。
4 否決(融資失敗のこと)の後に専門家に相談に来る
最初、ご自身で日本政策金融公庫に申し込んで否決された後に「何とかならないか」と相談に来られる方もいらっしゃいます。
しかしながら、一度否決された場合には、通常半年間は再度申し込んでも否決になります。
もちろん、半年以内でも事業計画の見直しにより再申請が可能な場合や、半年経ってから再度申し込むことも可能です。
ただ、どちらのパターンでも融資の難易度はかなり上がります。
残す必要のない否決履歴を残さないためにも、事前に専門家の簡易診断だけでも受ける価値はあると思います。
まとめ
失敗を含め経験は重要だと思います。
一度事業に失敗してもその経験を活かし、再度起業して成功される方もいらっしゃいます。
ですが、どうせなら失敗せずに最初から事業に成功したいと思います。
融資などの創業支援の経験が豊富な専門家にアドバイスを求めることは、その経験不足を補う効果があります。
実際に依頼するかどうかは別にしても事前相談を受けることはムダにならないと思います。