会社設立(法人成り)の3つの誤解
創業・起業と同時に会社を設立する方、あるいは個人事業として開始して比較的すぐ会社を設立(法人成り)される方もたくさんいます。
その中で会社のメリットについて勘違いや誤解をされたまま会社設立(法人成り)される例も散見されます。
創業の方からご相談をお受けしていて、伺うことの多い3つの誤解をご紹介したいと思います。
会社設立(法人成り)の誤解
1 融資がおりやすい
確かに個人と会社(法人)を比較した場合に会社の方が、融資がおりやすい、というのは間違いではありません。
ですが、創業融資においては個人と会社の審査上の差はほぼ無いと思ってください。
過去の業歴(個人事業時代も含む)が無い新規開業では、個人も会社も
① 創業者(人柄、経歴、信用情報など)
② 自己資金
③ 事業計画
を見られることは変わりませんので審査の上では一緒になります。
「個人事業で申し込んでダメなものが会社だと通る」ということはほぼ無いです。
2 税金が有利
「会社にした方が税金で色々有利なんでしょう」と言われる方、あるいは人から有利とだけ聞いて会社を設立される方もいます。
確かに、個人事業のままよりも会社にした方が有利な面があるのは事実です。ですが、どんな状況、どんな方でも会社の方が税金上有利になるわけではありません。
個人事業の所得(利益)がある程度以上(600万~800万※家族構成など状況により変わります)ある方だと税金面のメリットは出てきますが、所得が少ない方や赤字の方だと逆に税金が増えることになります。
消費税についても、個人事業から会社設立(法人成り)への移行時期のよって、消費税の免税期間をフルに活かせるかどうかなどが変わってきます。
3 社会保険料
個人事業であれば一部の業種(サービス業等)は従業員の数に関係なく、それ以外の業種でも従業員が5人未満であれば社会保険の任意適用事業所(加入が強制されない)になります。
しかし、会社(法人)は従業員・業種に関係なく社会保険の強制適用事業所(加入しなかればいけない)です。
中には
個人事業の条件と混同して勘違いされている方
自分(社長)一人の会社などでは、これまでずっと社会保険に入らずに来れたという先輩社長の話を聞いて(実際に結構あるようです)
このような理由から払わなくても大丈夫と思っている方もいるようです。
しかし、最近は社会保険財政の悪化もあってか社会保険の未加入についてはかなり厳しくなっています。
昔は見逃されていることも多かった社長一人というような会社でも、ここ数年は年金事務所から問い合わせが入っているという例も多いです。
税務署にある源泉徴収事業所(給与を払っていると思われる事業所)のデータと年金事務所の社会保険加入事業所との照合をして、未加入事業所をピックアップしている(約80万事業所あるとの話も)という話も聞きます。
小さな会社でも社会保険は無視できない時代になりつつあります。
まとめ
ネットの発達もあり独学であったり、知人にちょっと聞いてという方が結構多い印象を受けます。
詳しい内容まではご存知なくて、あとで「私の場合はいらなかった!」となる例もあります。
会社設立(法人成り)は自分の状況をきっちり確認して、事業の将来の計画も踏まえて検討する事項だと考えます。
後悔をしない為にはやはり、税理士などの専門家に事前に相談されることをおすすめします。