一人親方・大工など個人建設業の無申告
建設業の状況
建設業では、ほぼ専属で仕事をしている場合でも、雇用契約ではなく一人親方としての外注費(日当)をもらっている大工さんや職人さんが多いと思います。
現場が忙しい、確定申告のやり方が良くわからないなど、ダメなのはわかっているけども無申告という一人親方の方もいらっしゃるかと思います。
中にはご自身でわからないなりに、ざっくりの数字を書いて申告をしている方もいます。
間違っていても申告をしている方はまだ良いのですが、完全な無申告という方は色々と困ることが出てきます。
無申告で困ること
1 税務調査の不安
無申告で怖いのはやはり税務調査です。
一人親方自体に調査が来ることはあまり無いと思います。
多いのは、その一人親方を束ねている、仕事を発注する建設会社・リーダーとなる親方に税務調査が入ることでしょう。
そこで外注先のデータを取られ、芋づる式に税務署から連絡が…というパターンでしょうか。
この場合は売上金額が把握されているので言い逃れはできません。
数年分まとめて追徴金が来ることになります。
2 建設業の許認可
最近は社会保険とともに業務の許認可もちゃんと取っているのかどうか?の確認が厳しくなってきています。
その影響からか元請けから建設業の許認可を取るように要請された、という例が増えています。実際に当事務所のお客様でもありました。
建設業許可を受けるために「経営経験5年以上」という要件がありますが、「個人事業主(一人親方)の経験5年以上」でこの要件を満たします。
この要件を満たす一人親方の方だと、建設業許可の許認可を取りたい元請けから役員になってほしいというオファーがくる事例もあります。
一つの資格を持っているようなプラスが見込めます。
ただし、許認可申請のときには経営経験5年を証明するための書類として確定申告書(5年分)が必要になります。
3 住宅ローンや事業資金の借入
事業の拡大で自分が大工さん・職人さんを使う立場になったとき、通常は売上の入金より日当の支払いの方が先になります。
その運転資金を金融機関から借入したいとき。
他には家を購入する際の住宅ローンを組みたいとき。
子供を保育園に入れたいとき。
どの場合も所得証明が必要になります。
個人事業主の所得証明は確定申告書になります。
そのときになって初めて、確定申告が必要なことを知ってあわてる方も多いようです。
まとめ
「ばれなければ良い」という方もいらっしゃるかもしれませんが、納税をはたすというモラルの問題もありますし、上記のように将来的には「ばれなくても困る」ことは出てきます。
特に建設業は景気の影響を受けやすく、稼げるときは稼げても不景気のときには一気に収入が減ることもあって安定しません。
若いうちは大丈夫でも、いつまで現場で稼げるのか?という不安もありますし、年金も国民年金だけでは老後の生活資金は不足するでしょう。
そういう意味で、建設業の方は他の業種の方よりもずっと「計画性」が重要だと思います。
私のお客様には「確定申告」という狭い範囲の話ではなく、将来も含めた広い範囲の話でご相談に乗ることができればと考えています。